2020-02-04

【動画公開】シサスク:”The Spiral Shymphony” -梨本宮里ピアノデュオ

2019年11月2日、公園通りクラシックスで上演された「梨本宮里ピアノデュオ Contemporary Piano Duo Music-響鳴-」より、ウルマス・シサスクの《The Spiral Shymphony (渦巻銀河交響曲)》のライブ映像を公開いたしました。

梨本宮里ピアノ・デュオ
Primo: 梨本卓幹
Second: 宮里倫史

サウンドエンジニア: 増田義基

当日のプログラムノート

宇宙、星、星座や神話、そして、銀河。その未だ全貌が知れぬ巨大な存在に、誰しもが一度は憧れ、ロマンを感じるであろう。

銀河とは数億~数千億もの星々で構成される星の大集団、すなわち何十億年と受け継がれてきた宇宙の歴史そのものだ。ガスが集まり、星が生まれ、成長し、やがて終焉を迎える。日々、慌ただしい時間を生きる我々人類からは想像も絶するほど長大な時の流れの中で、これまた人智を遥かに超える膨大なエネルギーをもって、宇宙もまた変化し続けているのである。

エストニアの作曲家ウルマス・シサスクは、幼少の頃に星を見上げ、魅せられた。全88星座のピアノ曲をも作曲し、天文学者としての顔も持つシサスク氏がこの曲集で題材として選んだものこそ、銀河の中でもその形が螺旋のような渦を描いている「渦巻き銀河」だ。「渦巻銀河交響曲」と訳されるこの曲集とには次のような銀河が登場する。

 1.ケフェウス座NGC2276銀河

曲中で織りなされる異なる2つの輪の調和。1億500万光年という遥か遠くから紡がれる星の二重唱。

 2.りょうけん座M51銀河

宇宙空間に飛び交う星々のシグナルと、大きく腕を広げて渦巻く銀河。すぐ側に小さな銀河を従えていることから、この銀河は「子持ち銀河」という別名を持つ。

 3.かみのけ座M64銀河

かつて2つの銀河が衝突してできたこの銀河は、光が吸収されて見えない部分があることから「黒眼銀河」と呼ばれる。入り乱れる光と闇の舞踏。

 4. ろ座NGC1365銀河

端から端まで20万光年という広大な領域にまたがり、3億5000万年ほどかけて外周が一周する。広く長大な時の流れ。

 5. しし座M66銀河

M65、NGC3628と共にしし座銀河団を構成する。お互いの重力に影響されながらもどっしりと回転を続ける。

 6. おおぐま座M81銀河

大きく整った形を持つこの銀河は、遠目にはゆっくりと、しかし実際は秒速300キロメートルで回転している。

 7.おおぐま座M101銀河

淡く、そして大きく広がるこの銀河は別名「回転花火銀河」。中心のもやもやした部分から次第に巨大な全体像が見えてゆく。

 8.9.おとめ座銀河団~フィナーレ

おとめ座方向に広がる約2000という膨大な銀河の大集団、おとめ座銀河団。さながら悠久の思い出にふけるかのような、それでいてどこまでも限りなく続いていくような、そんな宇宙に響く星々の輝き。

文/梨本卓幹

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